混合診療解禁の是非

健康保険制度を考える
ー混合診療解禁の是非(2)

世界に冠たる日本の健康保険制度が危機に瀕しています。
混合診療の解禁の是非、国民皆保険制度の是非についてアメリカの実状などを踏まえてこの場をお借りして意見を述べてみたいと思います。

医療費の公平に対する考え方

池上直己、J・C・キャンベル著『日本の医療』(中公新書、1996.8)より
医療費を支払う方法として相対立する二つの考え方がある。一つは「自由」を重視する立場から、医療も他の保健分野と同様に、リスクの程度(たとえば火災保険なら木造か鉄筋か等)および事故に遭遇した場合の保証範囲(1000万円か1億円等)に応じて保険料を決めるという考え方である。この考え方に従えば、普段健康に気をつけている人が自堕落な生活を送っている人と同じ保険料を払わなければならなかったり、またお金に余裕があっても最高の医療が受けられないような体性は不公平である。
もう一つは「平等」を重視する立場から、医療は「だれでも、どこでも、いつでも」平等に受けられる権利があるとする考え方である。この考えに従えば、前の年に病気をしなかったからといって保険料を低くすることを求めたり、金持ちだからといって最高の医療が受けられるような制度こそが不公平である。 (P86)


自由を重視するのであれば、国が関与することはあまりありません。保険会社に任せておけば必然的に自由になっていくことでしょう。
もちろん、お金のない人や病気であったり病気になる危険性の高い人は保険に入れないこともあるのは当然といえます。

平等を重視するのであれば、国が関与しなければなりません。
金持ちであるとか病気であったり病気になる危険性の高い人でも平等に扱われるだけでなく、国の基準以上の医療を受けたいという人やそれに応えようとする医療機関にも制限を加えなければなりません。

日本では小中学校は義務教育のため、費用は税金で賄われています。
子どもを私立の小中学校に入れたければ、全額自己負担しなければなりません。自分が払った税金のうち義務教育費に使われる部分の返金はしてくれません。 私立の小中学校に入れるということは二重負担することになります。

結局、平等にすると自由にしたいという人に対してもある程度の制限をかけなければならないということです。
混合診療のように自由にしたい人に自由を認めることは、それに対応しようとする医療機関が増えて、平等を基本とした医療機関がいずれ駆逐されていくことでしょう。

アメリカの医療は自由を重視した考えですが、日本のような国民皆保険を望んでいる人が多くいます。
しかし、自由によって優れた医療を受けられる人やそれに対応する医療機関の反対でなかなか進みません。 一度、自由を重視すると後戻りはできないことも考慮すべきでしょう。

情けないほど高いアメリカの乳児死亡率

2005〜2010年の人口1000人あたりの乳児死亡者数は、日本が2.6人で6位。 アメリカは6.8人で43位です。

上位に先進国が占めている中で、アメリカだけが飛びぬけて離れているのがわかります。

途上国の中でも医療だけはアメリカの真似をしたくないという国が多いのではないでしょうか?

1000人あたり乳児死亡数(2005〜2010)
順位 国名 人数 順位 国名 人数
1 シンガポール 1.9人 26 ギリシャ 4.6人
2 香港 2.0人 27 エストニア 4.7人
3 アイスランド 2.1人 28 オーストラリア 4.7人
4 ルクセンブルク 2.3人 29 ニューカレドニア 4.8人
5 スウェーデン 2.6人 30 ブルネイ 4.8人
6 日本 2.6人 31 イギリス 4.9人
7 フィンランド 2.8人 32 キューバ 5.1人
8 ノルウェー 3.0人 33 ニュージーランド 5.1人
9 チェコ 3.2人 34 カナダ 5.2人
10 イタリア 3.5人 35 ハンガリー 5.8人
11 スロベニア 3.5人 36 マルタ 5.8人
12 フランス 3.5人 37 マヨット 5.9人
13 スイス 3.7人 38 レユニオン 5.9人
14 ドイツ 3.7人 39 クロアチア 6.0人
15 イスラエル 3.8人 40 ポーランド 6.1人
16 スペイン 3.8人 41 スロバキア 6.3人
17 ベルギー 3.8人 42 リトアニア 6.5人
18 韓国 3.8人 43 アメリカ合衆国 6.8人
19 アイルランド 4.0人 44 ベラルーシ 6.8人
20 オーストリア 4.0人 45 アラブ首長国連邦 6.9人
21 デンマーク 4.0人 46 グアドループ島 7.0人
22 オランダ 4.4人 47 チリ 7.2人
23 マカオ 4.4人 48 バーレーン 7.2人
24 ポルトガル 4.5人 49 ラトビア 7.5人
25 キプロス 4.6人 50 プエルトリコ 7.6人

つづく・・・。

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